まずは嬉しいニュースからお届けします。9月14・15日にルクセンブルクで開催されたテックイベントで、日本から選抜されピッチに参加した5社のうち、宇宙ベンチャーのPale Blueが賞金付きピッチコンテスト『Mastermind Competition』の優勝を果たしました。おめでとうございます。 同コンテストは、2015年からICT SPRINGに併催されていたPITCH YOUR STARTUPピッチコンテストをリニューアルする形で今年初開催となりました。例年300件を超える応募のある人気コンテストでしたが、オンライン参加も可能だった今年は激しい争いになったようです。日本からは、クアンタム・オペレーションも同コンテストのディープテック部門のファイナリストに選抜された他、ICT SPRING/Space Forumのメインカンファレンスの中でルクセンブルク経済省が世界各国のスタートアップに提供したピッチ枠13の中に、HACARUS、天地人、パッチドコニックスが選ばれるなど、日本企業が大きく躍進したことを当事務所も非常に嬉しく思います。

ルクセンブルクでもう一つ、人気のスタートアップ向けプログラムが『Fit4Start』です。これは、ルクセンブルク経済省がスタートアップ支援の要と位置付けるアクセラレーションプログラムで、今回12回目を迎えます。24週間のコーチング、ファンディング(最大15万ユーロ)、ネットワーク、コワーキングの4要素で構成されるプログラムで、今回はICT、宇宙、ヘルステック、HPCおよびデータ分析の分野から設立5年以内のスタートアップの応募を受け付けます。欧州進出計画を持つベンチャー企業にはメリットの多いプログラムだと思いますので、是非ご応募ください。締め切りは10月4日です。

民間宇宙開発、いわゆるニュースペースへのパラダイムシフトが起こり、各国政府が宇宙ベンチャーを支援しながら彼らのサービスを購入したり、国民生活や経済活性化に役立てるようになりました。ルクセンブルクから欧州のニュースペースを盛り上げてきたカンファレンス『New Space Europe』 が2年ぶりとなる11月24日に開催されます。欧州、そして世界から宇宙機関、宇宙関連企業、スタートアップ企業、投資家が一堂に会する貴重な機会です。リアル会場・オンライン両方の参加が可能なハイブリッド開催ですので、日本の皆さまも是非ご参加ください。今年のカンファレンスのテーマは『Connecting Entrepreneurs &Investors in the New Space Age』。政府をあげてニュースペースを後押しするルクセンブルクで、宇宙起業家と投資家との出会いを後押しします。投資や資金調達、保険や事業モデルなど、より宇宙の”ビジネス”面にフォーカスしたFinancial Times構成のプログラムや、宇宙世代諮問委員会(SGAC)とルクセンブルク宇宙機関が共催するピッチコンテストなど、新しいプログラムも加わっています。

国際金融都市の中で、サステナブル・ファイナンスの取り組みが注目されるところがいくつかありますが、ルクセンブルクもその一つです。世界で最初のグリーン債に特化した取引所の開設と活用、LuxFLAGが付与する認証ラベルの活用、官民連携ファンドの活用、再生可能エネルギー・カバードボンドの法的枠組み導入など、国際金融センターとしての地位向上のため、官民あげて様々な取り組みを展開しています。在日ベルギー・ルクセンブルク商工会議所(BLCCJ)は、LuxFLAGのVoss会長をスピーカーに招き、10月7日にウェビナー“Leveraging Green towards a Profitable and Sustainable Business”を開催します。LuxFLAGの認証ラベル発行のしくみや、これまで認証した金融商品のその後の収益性など、貴重なお話を伺う機会です。また、FinCityTokyoの中曽会長が登壇され、日本政府の野心的なESGの取り組みに金融が果たす役割などについてお話されます。欧州でのリアルを知り、日本の今後を考えるきっかけになると思います。

パラリンピックにルクセンブルクから唯一人参加したアスリート、トム・ハプシャイト選手は、砲丸投げで2019年世界パラ陸上競技選手権銀メダルの実力者です。今回は4位という好成績ながら惜しくもメダルに及びませんでした。コロナ渦でなければ、事前トレーニングで訪問する予定だった石垣市からは、訪問が中止となった中でも応援パネルの設置など心温まる熱い応援が届きました。困難な状況の中来日し、一人でルクセンブルクを代表したハプシャイト選手を心から称えたいと思います。

ご好評を頂いている、当事務所ウェブサイト上の連載『ルクセンブルクワインラボ』の第二回「ルクセンブルクでオレンジワイン?伝統と革新の遺伝子 ドメーヌ・コックス」前編を公開しました。毎回、様々な切り口でルクセンブルクワインを取り上げる同企画の第二弾では。伝統ある造り手でありながら、常に高みを目指してイノベーションに挑戦するワイナリー、コックスを取り上げました。今まさに収穫真っただ中のルクセンブルク・モーゼルのブドウ畑に、ひと時、思いを馳せて頂ければ幸いです。

 

エグゼクティブ・ディレクター

松野百合子

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