6月24日から、ルクセンブルクで開催された貿易投資事務所(LTIO)ディレクター会議に参加してきました。これまで2年に一度開催されてきた同会議には、世界9か所にあるルクセンブルク貿易投資事務所の代表者が集まり、ルクセンブルク政府や商業会議所、研究機関など、ルクセンブルクの経済プロモーションに携わる関係者と交流し、ルクセンブルクの経済政策の最新情報を得ると同時に、各LTIOの置かれた状況や要望を伝えることができる貴重な機会です。毎回必ずギヨーム皇太子殿下や担当閣僚が参加し、各国の経済プロモーション状況に耳を傾ける機会が設けられることから、ルクセンブルク政府がこの会議を重視していることが分かります。LTIOネットワークは、昨年11月に発足したルクセンブルク新政権下で、これまでの経済省から外務・対外通商省へ所属が移行し、外務・対外通商省に新たに設けられた対外通商・投資局の傘下に入りました。同局の局長に就任したのは、前駐日大使のピエール・フェリング氏で、日本の状況をよく知る局長の存在は東京の当事務所にとって非常に心強いものです。6月10日の週のギヨーム皇太子殿下率いる経済使節団の来日直後であったこと、また来年の大阪万博にルクセンブルクがパビリオンを出展することから、日本との経済交流への意欲と期待を各方面から感じました。大阪万博開催期間中に、複数の企業使節団の来日が見込まれるほか、研究機関や観光業界なども日本でのプロモーションに意欲的でした。

ルクセンブルクではこの数年間で市内に新たな商業施設が複数オープンしたり、新しいカフェやショップなどが出現したり、歩きながら色々見て回りました。欧州は私が2022年に訪れた時より更にインフレが進んだ印象で、出張中の為替レートが1ユーロ170円強だったこともあり、日本との価格差に衝撃を受けることもしばしばでした。そんな中、公共交通機関が無料なのはとてもありがたく感じます。トラム、電車、バスを組み合わせれば、多少時間はかかりるものの、どこへでも無料で移動できます。今回、LTIOディレクターが大公殿下の居城であるコルマール・ベルク城のガーデンパーティーに招かれるという栄誉を頂きましたが、海外駐在中で車のないディレクター数名と一緒に、同城まで公共交通機関で移動してみました。他のゲストが皆、車で来場している中、正装して電車と徒歩でやってきたのは我々くらいで、パーティーで会った知人らに大いに自慢できました。パーティーでは、日本に縁の深いオロリッシュ枢機卿と再会し旧交を温めました。今年9月に教皇フランシスコがルクセンブルクを公式訪問することが決まっており、同事業のご成功を願っております。

これまでICT SPRINGとして2010年から続いてきたルクセンブルクのテックイベントが、今年からリニューアルされ、『Nexux2050』として新スタートを切りました。ルクセンブルク経済省は、LTIOの推薦するスタートアップに無料ブースやピッチ機会、さらにルクセンブルクスタートアップエコシステムの視察ツアーなどを継続して提供し、日本から5社が参加しました。また、同イベント内で行われたFit4Startアクセラレーションプログラムの卒業式では、日本の素材ベンチャー、Thermalyticaがステージでプレゼンテーションを行い、他の企業とともにプログラムの修了を祝いました。

ルクセンブルクには、欧州唯一の宇宙資源に特化した研究機関、欧州宇宙資源イノベーションセンター(ESRIC)がありますが、同センターの企業支援部門の担当者らが7月開催のSPACETIDEに来日・登壇した機会に、日本の宇宙企業向けに企業支援プログラムのプレゼンテーションを行いました。宇宙資源というニッチな分野ではありますが、要素技術を研究する日本企業への期待は高く、将来彼らのプログラムに是非日本企業にも参加してほしいと訴えました。

 

 

 

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