去る11月29日に、当事務所として久しぶりの実会場でのイベントとなる「ルクセンブルク事業投資セミナー 『武器』となるデータインフラ」を開催いたしました。昨年3月以降、オンラインイベントに終始してきましたが、効率が良い反面、対面で人が集うことから生まれる偶然の出会いやひらめきの大切さをかえって実感することとなりました。今回は招待制としましたが、お陰様で約70名様にご来場頂き、多くの方と会場でお話することができました。フェリング大使も様々な日本企業の方々から直接お話を伺うことができ、とても有意義だったとのことです。防疫対策から飲食なしのネットワーキングでしたが、それでも直接お話できる喜びを皆様と共有できたと感じております。フェリング大使のご挨拶に始まり、ルクセンブルクの事業環境やデータ駆動経済を支えるデータインフラについてのプレゼンテーション、ルクセンブルク進出した企業の体験談を伺いました。同セミナーで、私が非常に勉強になったのはルクセンブルク大学のパスカル・ブーヴリー教授による欧州高性能コンピューティング(EURO HPC)についてのプレゼンテーションでした。教授は「日本にはスーパーコンピューター「富岳」があり世界最速を誇っている。一方、ヨーロッパのHPCプロジェクトは計算能力だけでなくネットワークや使いやすさに注力している」と説明し、双方のアプローチの違いを指摘しました。ルクセンブルクのHPC「メルジーナ」は企業の幅広い用途に答えるべく設定されていること、HPCを扱える人材育成のため大学に新たな修士課程を設けることなど、たしかにハードだけでなくソフト面もカバーするプロジェクトであることがよく理解できました。すでにシンガポールなどと共同プロジェクトが始まっているようですので、日本の企業・機関とのコラボレーションにも期待したいと思います。

ルクセンブルクはファンド設置やユーロ債上場に強みを持つ国際金融センターです。30年以上前から日本の証券会社や信託銀行を迎えていますが、この10年間でフィンテック企業や保険会社などもルクセンブルクに進出し、現地の日系金融コミュニティーはより多様になってきました。11月11日に開催されたルクセンブルク・フォー・ファイナンス主催ウェビナー『フォーカス・オン・ジャパン』は、ルクセンブルクで活動する日本企業の今にスポットを当てた内容で、ブレグジット、ESG、規制環境の変化などに対応しながら事業拡大を目指す各企業のお話を伺うことができました。同ウェビナーはアーカイヴ映像が後日公開される予定ですので、またご案内いたします。

昨年はコロナで開催中止となった宇宙ビジネスカンファレンス『NewSpace Europe』が、11月24日に開催されました。ルクセンブルクの実会場とオンライン配信それぞれに欧州を中心に世界各国から多くが参加しました。ルクセンブルク経済大臣やESA長官、NASA民間宇宙ディレクター、ルクセンブルクを代表する衛星企業SESらの基調講演や、欧米を中心に宇宙企業、地上企業、アカデミア、VCなど多様なスピーカー・パネリストによるセッションは、急速に発展する世界の宇宙ビジネス環境を知るのにとても有益でした。9月に行われたルクセンブルクの『Master Mind』ピッチコンテストで優勝した日本の宇宙スタートアップPale Blueは「未来の宇宙経済」をテーマにしたセッションに招かれ登壇されました。日本からの参加はオンラインで可能とはいえ、時差の関係で難しいものがありますので、来年からは現地参加が可能になるよう渡航規制の緩和を待つばかりです。

「金融」と「宇宙」はそれぞれルクセンブルクが注力するセクターですが、これまで同時に語られることが少なかったように思います。この度、日本の金融イノベーションを促進するプラットフォームとして多くの金融関係者・フィンテック企業が集うFINOLAB様と一緒に、イベント「宇宙 X 金融 #3 『金融センター・ルクセンブルクの宇宙ビジネス戦略 ~金融業の未来にむけて~』」を開催することとなりました。12月8日(水)に大手町のFINOLABからハイブリッド開催します。上記、NewSpace Europe 2021の中から金融にかかわるセッションについて簡単な報告をさせて頂く予定です。お時間あれば是非ご参加下さい。

当事務所の独自制作ミニ動画シリーズ「ルクセンブルクとビジネスしよう」の2本目を当事務所YouTubeチャンネルにアップしました。今回は「ミーティングは何語で?」の疑問に答える内容です。ゲベルス公使が友情出演して下さいました。3分ほどの短い動画ですので、よろしければご覧ください。

ルクセンブルク貿易投資事務所

エグゼクティブ・ディレクター

松野百合子

 

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