ルクセンブルクのテックイベント『ICT SPRING2022』(6/30-7/1)が3年ぶりにリアル開催され、日本のスタートアップ企業6社が出展しました。
8/24に開催された報告会では、同イベントに出展したスタートアップ企業やキーノートスピーカー、ジャーナリストの方々をお招きし、イベントから得られた学びや成果、今後参加する企業へのアドバイス等を伺いました。
ご参加、ご協力くださいました皆様、誠にありがとうございました。
以下当日のプログラムとパネルディスカッションで話された内容を中心にレポートを掲載します。また一部資料ダウンロードいただけますので、是非ご参照ください。
プレゼンテーション資料↓
『ICT SPRING2022』参加報告会資料
■プログラム■
18:00 開演・駐日ルクセンブルク大使によるご挨拶
18:10 ICT SPRINGご紹介
18:25 パネルディスカッション 【出展者セッション】
19:05 パネルディスカッション 【キーノーター&メディアセッション】
19:25 今後のイベント・プログラム紹介
19:30 ネットワーキング (20:30頃まで予定)
■ゲストパネリスト■
第一部
ジョン セーヒョン氏 oVice株式会社 代表取締役 / CEO
金本 成生氏 株式会社スペースシフト 代表取締役CEO
梅村 圭司氏 SWAPay株式会社 代表取締役CEO
西口 潤氏 株式会社toraru 代表取締役
森 裕和氏 株式会社ワープスペース 最高戦略責任者
第二部
鬼頭 武嗣氏 一般社団法人Fintech協会 代表理事副会長
藤元 正氏 フリーランスライター
■モデレーター■
松野 百合子 ルクセンブルク貿易投資事務所エグゼクティブディレクター
■イベントサマリーレポート■
まず冒頭、ピエール・フェリング駐日ルクセンブルク大使による挨拶が行われ、「高品質」「イノベーション」「人への投資」「オープンな心」などが過去150年に渡るルクセンブルクの経済政策の基底にあった事を様々な例と共に紹介し、イノベーションをもたらすスタートアップ企業の重要性を強調した。
次にルクセンブルク貿易投資事務所の中丸より、『ICT SPRING 2022』の概要や会場での様子、また日本のスタートアップ企業や視察参加者向けに実施した特別訪問プログラムやワイナリーでの交流ディナーをプレゼンテーション資料で紹介した。
プレゼンテーション資料↓
『ICT SPRING2022』参加報告会資料
パネルディスカッション第一部 【出展者セッション】
パネルセッション第一部では、出展スタートアップ企業5社に登壇いただき、各社の国に対する印象や欧州市場の位置づけ、イベントへの臨み方などにについて伺った。国の印象については、「英語が驚くほど通じて、文化や言語の壁を全く感じなかった。」「街中が綺麗。」「公共交通機関が無料で、移動のストレスがなかった。」など、好意的なコメントを多くいただいた。また宇宙領域に特化した事業環境への印象として、「ルクセンブルクが宇宙ビジネスに積極的と予備知識で知っていたが、その通りだった。事業が始めやすい、政府支援が充実している、との印象を持った。」との感想もいただいた。
また欧州市場の位置づけについては、宇宙分野の企業からは「欧州はESA(欧州宇宙機関)やエアバスなどの大企業、また高度人材も多く、アメリカに次ぐ重要市場」とのコメントがあった。また日本のICTサービス企業にとっては、「GDPRや金融関連の規制もあるのでアジア市場に比べて壁は高く、まだま捉えきれてない部分も多いが、市場の大きさは魅力で取り組むなら腰を据えて本気で取り組む必要がある」とのコメントもあった。優先順位や考え方は各企業ごとに異なるものの、今回のICT SPRING参加が、欧州市場の重要性や可能性、また難しさについて、認識を新たにされた機会となったようだ。
次に海外イベント参加経験豊富な3社(ワープスペース、toraru、oVice)にブース出展に際しての準備や留意点を伺った。イベント専用アプリ等を通じた事前ミーティングの重要性や、大型ディスプレイを借りてのデモを通じた集客など、独自アプローチやノウハウを紹介いただいた。また展示ブースでの取り組みとして、「日本のイベントなどと比べても来場者に気軽に立ち寄ってもらえたが、当初全くメッセージが刺さらず、どういうアピールが効果的か、様々なトライ&エラーを繰り返して、PDCサイクルを1日回してその場で修正を加えていき、2日目には大幅に改善できた。翌日のピッチの原稿も変更した。」というリアルイベント参加ならではの経験も共有いただいた。これから初めて海外イベント参加される企業には非常に参考になる内容であった。
最後にリアルイベント参加の意義について伺い、「リアルイベントはやはり拘束力がある。オンラインで展示会やっても新しい会社は認知度がないので拘束力がない。」「顔合わせて説明すると反応見ながら言葉変え、リカバリーがきく。オンラインやメール、電話は興味なければすぐに終わる。」など、新しい会社やプロダクトをリアルイベントで露出していく重要性を全員が認識されていた。
上記の他、会場の参加者から、NFTなど暗号資産に関するルクセンブルクの税制や、海外進出の決断のタイミングについて質問があり、スタートアップ企業の海外展開について全般的に関心の高さを伺わせた。
パネルディスカッション第二部 【キーノーター&メディアセッション】
パネルセッション第二部では、キーノートスピーカーとして参加された、一般社団法人Fintech協会の鬼頭代表理事副会長と訪問取材いただいたジャーナリストの藤元氏に登壇いただき、より中立的な立場の二人にルクセンブルクへの印象やICT SPRINGなどのリアルイベントへの参加意義を伺った。
鬼頭氏は、フィンテック協会がすでにルクセンブルクのフィンテックプラットフォーム組織LHoFT(Luxembourg House of Financial Technology)と5年以上の協業関係にある事に触れられ、「ルクセンブルクは国際的・開放的で、例えばLHoFTのコアメンバーも中東の人だったりルーマニアの人だったり、非常に国際的だと感じた。また今回新たな発見として、ルクセンブルクは金融センターだが、金融に関する法令遵守しているかなどチェック・運用するためのReg Tech(レグテック)が特に強いという印象を持った。」とコメントいただいた。
また日本のスタートアップ企業の海外進出について藤元氏は「日本企業は海外もっとでるべきと感じた。韓国はICT SPRINGでもパビリオンを出していた。」と積極的に海外進出する必要性を痛感されたとの事であった。
最後に、鬼頭氏が今年3月から出張を再開されてすでに9カ国を訪問されている事に触れつつ、「海外イベントなどに参加する事は、コロナを経た後の世界の状況を知れる意義がある。地政学や、テクノロジーの変遷などダイレクトに感じられる。」と海外イベント等の参加の意義を強調されて締め括った。
藤元氏の今回の訪問取材に関連する記事は以下でもご覧いただけます。
https://note.com/tadah_fujimoto/n/ne1f5abbefd83
最後にルクセンブルク貿易投資事務所の中丸より、ルクセンブルクで募集中のアクセレーションプログラム「Fit4Start」や秋に行われる「Arch Summit」や「New Space Europe」などについても紹介が行われ、その後大使館内でネットワーキングセッションも1時間近く行われた。
その他、お問い合わせは、ルクセンブルク貿易投資事務所(松野/中丸/石黒)まで。
ルクセンブルク貿易投資事務所(東京)
TEL:03-3265-9621/EMAIL:tiotokyo@mae.etat.lu