外出制限が4月20日から段階的に解除中のルクセンブルク。コロナ情報疲れの今日この頃、国際金融センターの首都から通勤圏内でカントリーライフが楽しめるルクセンブルクならではの和やかな話題が届きました。Haag-松村さんからのレポート第6弾です。
レポーター:
ルクセンブルク在住20年
Haag-松村 友里江さん
『緊急事態宣言直後は、パニックで一時的に沢山の商品がスーパーから消える買い占めが世界中で起こり、ルクセンブルクも例外ではありませんでした。
今は制限生活も長くなり、買い占めは見られませんが、品薄で手に入りにくい商品はあります。私もなるべく混雑しない時間にスーパーに行くのですが、卵は買えない時があります。
ルクセンブルクは、首都ルクセンブルク市近郊にも農家があり、そこでジャガイモや、鶏、七面鳥などを直売もする所もあります。自宅近くにも数軒農家があるため、念の為、卵を売っていないか聞いたところ、一軒の農家を見つけました。その農家では、通りに面した家の前の駐車スペースに小さな冷蔵庫を置いて、セルフサービスで買いに行くことが出来ると知りました。
そこで早速、私も運動不足解消に自転車で行くことにしました。車だと5分位、自転車だと10分位で着くはずです。散歩道を通り野原を抜けて行くと、途中にはロバを飼っている場所があります。ちょうどロバさん達はご飯中でした。
今まで何度もその農家の前を車で通ったことがありますが、冷蔵庫には全く気が付きませんでした。見つけられるかな?ワクワクドキドキ…。行ってみたら…、本当にありました!卵が買える嬉しさだけでなく、なんだか良く分からない達成感まで感じました。
値段は、6個入りが2ユーロです。冷蔵庫の横には小さな貯金箱。貯金箱にはさすがに鍵が付いていましたが、冷蔵庫に鍵は無く、お客さんがちゃんと支払うことを信じて売っています。
緊急事態宣言後からスーパーでの支払いは、現金払いが少なくなり、カード決済ばかりです。昨年より少額なら暗証番号やサインも必要無い「サインレス決済」が主流になって来ましたが、この非常時に、接触を減らすため上限額が更に引き上げられ、カードを指定の場所にかざすだけで支払うことができます。このような状況が続いているため、今は手持ちの小銭が少なく、殆どありません。
でも卵は買いたい!持っていた10ユーロ札で、5パック、30個も卵を買いました。オムレツでもクレープでも、普段はしないけどケーキも作るかもしれないし、卵はあれば便利なので、大丈夫。今は外食もしないし、一家4人が休暇中でもないのに朝から晩まで3食一緒に自宅で食べる状況が何週間も続くのは初めての経験です。30個の卵を自分達だけのために買うのも初めての経験…。
「どうなるかな。一品(ひとしな)足りない時の卵頼み。」そう思ってふと見ると、農家の飼い犬と羊が通りに面したところに出てきて草を食べていました。春に生まれた4頭の子羊も一緒です。平和な風景に和やかな気分のまま帰宅しました。
』