毎年イベントが多いこのシーズンですが、今年は多くのイベントがオンライン化または延期となっています。オンラインイベントの利点は遠くにいる人同士が参加交流できることですが、一方で、同じ物理的空間で他人と時間を共有することによって生まれるエネルギーや偶然の出会いの力を改めて認識することになりました。先日、コメンテータとして参加したデジタルコンテンツエキスポ2020オンラインのピッチイベントでは、AR、VRを含むデジタルコンテンツ技術系スタートアップが集合しました。生活の中のデジタル要素が重みを増す現実を踏まえ、これからの社会を想定した様々なサービスのプレゼンは興味深かったです。

ルクセンブルクのテックカンファレンス「Luxembourg Internet Days」も今年はオンライン開催となりました。同イベントはルクセンブルクの商業インターネットエクスチェンジであるLU-CIXが主催するネットワーク業界関係者を中心としたカンファレンスで、小規模ながら毎年業界の中心人物が集まりヨーロッパICT業界のホットトピックスについて議論が交わされます。今年のカンファレンステーマはクラウドセキュリティやサイバーセキュリティなど。5Gの実装に向けて、IoT機器へのサーバー攻撃が懸念される今、クラウドサーバのセキュリティは業界の重要課題です。企業の展示もあり、日本からは、トータル・ネットワーク・ソリューション・プロバイダーのIIJ Europeとハイブリッドコンピューティングの研究開発スタートアップtonoiがバーチャルブースを出展しました。

12月6日には、はやぶさ2が小惑星で採取したサンプルが入ったカプセルが地上に帰還する予定です。ルクセンブルクは2016年から、民間による宇宙資源探査と利活用を促進するための様々な施策を打ち出していますので、小惑星資源サンプルリターンのパイオニアであるJAXAのこのミッションには注目しています。ルクセンブルク政府は、欧州宇宙機関(ESA)をはじめとする研究機関やグローバル企業と宇宙資源をテーマとした研究開発協力を可能にするため、ルクセンブルクに欧州宇宙資源イノベーションセンター(ESRIC: European Space Resources Innovation Center)を開設し、11月18日にオープニングイベントを開催しました。将来、日本とも同センターにて研究協力が行われることを期待しています。

ルクセンブルクに3つあるユネスコ世界遺産の1つ、無形遺産である『エヒテルナッハのダンスの行進』を紹介するオンラインセミナーを、在日ルクセンブルク大使館が12月10日に開催します。14世紀頃に始まったとされるエヒテルナッハの大聖堂への巡礼の行進は、その起源や歴史について謎が多く様々な言い伝えも存在しています。日本の皆さまにこの伝統行事をご紹介するため、エヒテルナッハ出身のルクセンブルク大学のヴィルヘルム名誉教授を迎え、同行事の歴史と謎に迫ります。教授には質疑応答にも参加してもらう予定です。ご興味のある方は、こちらから詳細をご確認の上、お申し込みください。https://www.investinluxembourg.jp/ja/news/webinar_echternach/

ルクセンブルクの名誉総領事であるTDK元会長の澤部肇氏が昨年末に日本経済新聞に連載された『私の履歴書』が、単行本『私の履歴書 神田のサンマとニューヨークの青空』として刊行されました。グローバル企業として成長するTDKで、若い頃から様々な挑戦を繰り返した澤部氏のお人柄が伝わり、青春小説のような装丁がぴったりの読後感です。ルクセンブルク駐在時代のエピソードがあり、当時のルクセンブルクとTDKの様子にも思いを馳せました。

今後もどうぞよろしくお願い致します

ルクセンブルク貿易投資事務所

エグゼクティブディレクター

松野百合子

Menu
閉じる