7月29日(月)開催の『日経xルクセンブルク イノベーションミートアップ 「欧州テックイベント参加の先にある世界」』には、お蔭様で約50名の皆様にご参加いただきました。ご参加、ご協力くださいました皆様、誠にありがとうございました。主催者である日経新聞社様に心より感謝申し上げます。
以下当日のプログラムとレポートを掲載します。また一部資料ダウンロードいただけますので、ご参照ください。
■プログラム■
18:30 開演・ご挨拶
18:40 ICT SPRINGご紹介
18:45 パネルディスカッション(1)【出展者セッション】
スピーカー:
今林広樹氏
EAGLYS株式会社 代表取締役社長
キジク・マイケル氏
EAGLYS株式会社
多田洋史氏
ウミトロン株式会社 ゼネラルマネージャー
井上憲氏
ジョージ・アンド・ショーン株式会社 代表
川崎吾一氏
合同会社Yspace Co-founder/Co-CEO 共同
19:35 パネルディスカッション②【キーノーターセッション】
スピーカー:
砂金信一郎氏
LINE株式会社 AIカンパニー LINE BRAIN室 室長
Developer Relations Team マネージャー
プラットフォームエバンジェリスト
山崎はずむ氏
株式会社Empath Co-founder and CSO(海外展開担当)
根来諭氏
株式会社Spectee 取締役COO 兼 海外事業責任者
19:55 今後のイベント・プログラム紹介
20:00 ネットワーキング
■イベントレポート■
パネルセッション第一部では、モデレーターの松野(ルクセンブルク貿易投資事務所エグゼクティブディレクター)からICT SPRING出展企業に5つの質問を用意し、順番に聞いた。
(1)ヨーロッパのイベントに参加する意味
各社ともそれぞれ、GDPRによる情報保護ニーズ、宇宙ビジネス、SDG、高齢化社会など欧州・ルクセンブルクの状況を見ながら、市場・受け入れる環境があるという仮説を立てて、それを検証しに行くとの共通の目的を持っていた。
またYspaceの川﨑氏は、11月に開催される「New Space Europe(https://newspace-europe.lu/)」参加を念頭に置いた、欧州宇宙機関やルクセンブルクの宇宙関係者とのネットワーク構築、と宇宙スタートアップ故の目的があった事も明かした。
(2)ピッチコンテストに挑む意味
ピッチコンテストは、直接多くの人に自社の技術・ビジネスモデルを披露して、そこで評価を得て目立ちたかった、という点は共通していた。4社とも、部門優勝や特別賞を受賞できた事で、欧州市場で手応えを得られたと同時に、日本国内での評価上昇につながった事も大きかったと述べていた。
(3) ピッチコンテストに向けてどのように準備したか
「新しい技術なので、技術的な内容は最小限に抑えて、ストーリ作りに重点を置いた事が優勝につながった。一方で審査員がQ&Aでかなり専門的な最先端技術に関する質問をしてきて驚いた。」(サイバーセキュリティ部門優勝のEAGLYS今林氏とキジク氏)
「去年優勝されたEmpath山崎さんの映像を死ぬほど見て学んだ。また宇宙技術に通じていない海外の友人に何度も見せて分かりやすい内容にした。」(AI・ビッグデータ・機械学習部門でルクセンブルクシティ・インキュベーター賞を受賞のYspaceの川﨑氏)
と、それぞれ直前まで入念に準備していた様子がうかがえた。
一方でスマートリビング部門2位授賞のウミトロン多田氏は、「大切な質問がQ&A時間あと15秒くらいの間にされて、時間内に説明できなかった。ある程度来ると予想される質問については、最初からプレゼンテーションに含めておくという方法もあった。」同じくスマートリング部門2位のジョージ&ショーン井上氏は、「審査員のプロフィールを調べきれず、質問に答える際の目線合わせが十分にできなかったのが悔やまれる。」と改善点を述べていた。
(4)ブース出展について
特に2日目は、初日のピッチコンテストを見てくれた人が訪問してくれるなど、フォローアップの場として機能したという意見が多く出た。ハードがない場合、もっと展示の際のデコレーションの工夫をすべきだったという次回イベント参加に向けた改善点も聞かれた。
月面シートを床とパネルに貼って、ブースが好評だったYspaceの川﨑氏は、「過去に参加したSXSWで十分準備が出来ずに後悔した。一目で宇宙とわかる展示を心掛けた。」と述べた。
ジョージ&ショーンの井上氏は、「欧州の他の大規模イベントは、訪問者がひっきりなしで訪れるが、9割は関係ない人たちでその対応に時間を取られすぎる事が悩み。ICT SPRINGは決して多くはないが、訪問してくれる人たちが、皆何らかの関心があり質が高く感じられた。」と中規模イベントならではのメリットも挙げていた。
(5)今後どのようにフォローアップしていくのか。課題は。
各社とも将来に向けた手ごたえを得られ、ICT SPRING参加を通じて知り合えた企業や研究機関と今後のコラボレーションやパートナーシップに向けて話し合いを続けていくとの決意が聞かれた。一方で、展示ブースなどで興味を持つ企業に出会えたのは大きな収穫だったが、まだ自社の体制がすぐに欧州展開できるまで整っておらず、まずは国内のビジネスを整えたい、との意見も聞かれた。
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パネルセッション第二部では、松野から今年のICT SPRINGで基調講演を行ったスピーカーをゲストに迎え、それぞれの経験談と、日本のスタートアップが海外展開をどのように進めるべきか、といったより広範なテーマを伺うため、以下3つの質問についてそれぞれのゲストに話を伺った。
(1)日本のイノベーション企業、スタートアップの海外テックイベントでの存在感
(2)キーノートに参加する意義
(3)海外進出方法の判断
LINEの砂金氏は「以前に比べると日本のスタートアップの海外での存在感は増しているが、十分かというとまだそうではない。」とし、豊富なスタートアップ支援の経験も鑑み「JETROさん始め、各国政府や大手企業やプラットフォーマーなどが提供するアクセラレーションプログラムや支援スキームを積極的に活用して、外部リソースを最大限活用して海外展開する事が重要。」との見解を示した。
また今回のICT SPRINGでは、キーノートスピーチ後に、LINEを理解した上で提案をもってくる人が多かったそうだ。また、自身のキーノート以外に、政府CIO補佐としての立場で、ルクセンブルク政府のデジタル化推進チームなどとの個別ミーティングで有益な意見交換の場が持てた事が良かったと述べた。
Empathの山崎氏は「日本は市場がそれなりの規模であるので、IPOするまでは海外展開を嫌がるVCも多いと聞く。海外進出したいスタートアップは投資を受ける段階から、海外展開を明確に打ち出して理解をとりつけなければいけない。」
「キーノートスピーカーとしてICT SPRINGに参加した成果の一つに、VIPラウンジで、他スピーカー、欧州のディシジョンメーカーと直接ネットワークが築け、欧州市場の事でなかなか聞けない情報も聞けたメリットは大きかった。」と感想を述べた。
Specteeの根来氏は「海外展開はについては、Specteeとしては当初から明確に打ち出していた。サービス提供にはそれなりの規模の拠点とチームが必要なので、自社のリソースだけでなく、大手企業とのパートナー機会も探りながら、欧州進出を考えたい」と述べた。またキーノート参加の意義については、ICT SPRINGで基調講演を聞いていた聴衆から、インド工科大学のイベントにスピーカーとして招待され、新たな機会創出につながった成果も共有いただいた。
パネルセッション終了後、最後にルクセンブルク政府のアクセラレーションプログラム「Fit-4-Start」と年内に予定されている2つのイベントの紹介が行われた後、ルクセンブルクワインや特製ソーセージのバーベキューがふるまわれ、参加者同士やゲストとのネットワーキングが行われた。
■資料■
イベントで使ったルクセンブルク貿易投資事務所のプレゼンテーション資料は、以下よりダウンロードいただけますので、宜しければご参照ください。
その他、お問い合わせは、ルクセンブルク貿易投資事務所(松野/中丸/石黒)まで。
ルクセンブルク貿易投資事務所(東京)
TEL:03-3265-9621/EMAIL:tiotokyo@mae.etat.lu