コロナウィルス感染拡大を受け、ルクセンブルクでは3月16日から外出制限が継続中です。現地の日々の暮らしのレポートの続編は、医療事情を取り上げます。
レポーター:
ルクセンブルク在住20年
Haag – 松村 友里江さん
『ルクセンブルクでは、もし体調を崩したら、最初に自分の行きつけの一般開業医(General Doctor)に電話で予約をし、診察を受けます。普段から、いきなり大病院や専門医には行きません。
一般開業医は、自宅の一室を診察室にして開業していたり、5人〜10人程度のお医者さんが一緒に地域の医療センターとして開業している場合が殆どです。一般開業医から専門医の診察が必要と判断された場合に、専門医や大病院に行くシステムになっています。
ルクセンブルクも今は外出制限、非常事態宣言が出て1ヶ月が過ぎました。新型肺炎が疑われる場合は、Covid-19専用のホットラインに電話をするか、先ほどの一般開業医に連絡し、自分の症状を相談し指示に従います。大抵は、診察に訪れ、処方箋を受け取り、指定された場所でCovid-19の検査を受け、結果を待ち、その症状に応じて自宅療養か入院になります。
ルクセンブルクの人口は、約62万人です。そのほぼ半分に当たる29万人は外国人で、とても沢山の外国人が居住する国際的な国でもあり、そのため、国の公用語として、ルクセンブルク語、フランス語、ドイツ語の3ヶ国語が定められています。Covid-19のホットラインやお知らせ、ニュースなども多言語で行われています。
日本のように、ルクセンブルクでも春はカエデや樺の木の花粉が飛び、人口の12〜15%の人がアレルギーだそうです。私もその一人で、ここ数週間、息苦しく、目が腫れ、涙が止まらず、また肌荒れもあります。毎年この時期に同じようになるので、行きつけの地元の医療センターの一般開業医に電話をし、今年は診察に行かず、処方箋のみ受付に取りに行き、薬局に行きました。
医療センターの受付の人は、医療用マスクの他、おでこから顔全体を覆うプラスチックカバーをかけており、物々しさを感じましたが、反対に働いている人も守られていると安心感がありました。受付には黄色の紙に「診療希望理由を教えてください」との貼り紙がありました。待合室には患者が一名しか待っておらず、待つ人数を管理しているようでした。
一軒目の薬局は、処方薬の在庫が無く、発注してもいつ届くか分からないと言われたため、他の薬局に行くことにしました。薬局内は、働く人を守るため、赤い紐やプラスチックパネルが設置されており、お客さんが立つ場所も決められていました。店内に入いる客数も制限されていました。薬局の人も、感染リスクを最小限にするため、いつもより人数が少なく、交代制で働いているとのことでした。
外出制限中の私たちにも非常時ですが、更に過酷な状況で仕事をしている医療従事者やスーパーなど、食品流通業界の人たちに感謝の意を伝えるために、非常事態宣言後から夜8時に人々が家のバルコニーや庭に出て拍手をする習慣が生まれました。大変な時ですが、皆んなの心が一つになる瞬間です。』