5月3日から5日まで、今年で4回目となる Space Resource Week 2022が現地ルクセンブルクにて開催され、世界各国から1,000人を超える参加登録がありました。
以下イベントのハイライトレポートになります。
また当日の模様はESRIC You Tubeチャンネル ↓ にて公開されております。
https://www.youtube.com/channel/UCXrUeo-ZfkA1ksArhmqVDrg
宜しければご覧ください。
『Space Resource Week 2022』はルクセンブルク宇宙機関(LSA)、欧州宇宙機関(ESA)、Luxembourg Institute of Science & Technologyルクセンブルク科学技術研究所(LIST)の協力の下、欧州資源イノベーションセンター (ESRIC)が主催し、将来の持続可能な宇宙資源利用の発展を主要テーマに、地上資源セクター、航空宇宙産業、金融機関、研究機関、アカデミアなど様々な国際的な専門家を交え講演やパネルディスカッションが実施された。
ルクセンブルクのフランツ・ファイヨ経済大臣は、開会の挨拶で次のように述べられた。
「このイベントは世界で広く認知されており、様々な国際機関が1つになる上で重要な役割を担っている。これはルクセンブルクが宇宙分野で中心的な役割を担っていることの表れである。宇宙資源により月や太陽系を持続可能な方法で探査できるだけではなく、地球におけるイノベーションが刺激され、地球規模の課題に対する新しい対処法を見出す手段ともなりうるのである。」
JAXAの山川理事長がオンラインで登壇
本イベントにはJAXAの山川宏理事長からビデオメッセージが寄せられ、月面探査を含む宇宙探査と宇宙資源の活用におけるJAXAの活動が紹介された。
「宇宙探査の中でも月面探査は今でかつてないほど多様化し、宇宙資源の活用も急激に重要度が増した。2017年にルクセンブルク政府と日本政府の間で結ばれた、宇宙資源探査と商業、利用等に関する意見交換についての覚書もこうした流れの一例である。」と述べた。またルクセンブルクと日本の間の宇宙ビジネス分野協力の重要性を強調し、具体例として両国で月面探査開発に取り組むispaceの例を挙げた。
ESRICがKnowledge Sharing Platformを発表
鉱物処理・回収分野で国際的に著名な科学者であり、2022年4月からESRICのディレクターを務めるキャサリン・ハドラー博士は、基調講演の中で宇宙資源コミュニティのためのプラットフォームの立ち上げを発表した。
このツールは約1,000稿の科学論文を集約し、さらにニュース、特許、書籍、報道記事、立法文書、またはソーシャルメディアの投稿によって補完される予定だ。登録さえすれば誰でも自由にアクセスできる。
「宇宙資源コミュニティが期待することの1つは、情報が一元化た知識のデータベースに容易にアクセス出来るようになることだ。Knowledge Sharing Platformは、まず研究者にとって非常に興味深いものであり、またビジネスチャンスも見出すことができる」と、ハドラー氏は述べた。
「LIST で開発された技術に基づくこのプラットフォームは、宇宙資源分野以外の研究にも転用が可能だ。 これはビジネスと科学の未来像を結びつける素晴らしいツールである。」と、ルクセンブルク科学技術研究所(LIST)のCEOトマス・カルステニウス氏は続けた。
Knowledge Sharing Platform
スタートアップ支援プログラムについて
Space Resource Week内で、ESRICのスタートアップ支援プログラム(SSP)の枠組みでプレ・インキュベーションを開始したスタートアップ企業5社を初披露する場も設けられた。
2日目となる5月4日に5社が登壇し、それぞれ意欲的な計画についてプレゼンテーションを実施した。
5社の中には、宇宙で使える3Dプリンターを開発を目指し、昨年日本にも拠点を設置したAnisoprint社も含まれ、プレゼンテーションで社、月面での資源探査・採掘・輸送・加工に用いるツールを、迅速かつ手頃な価格で現地生産できる点をアピールした。
ESRICのスタートアップ支援プログラムは、宇宙資源分野の初期段階スタートアップ企業への支援、ビジネスモデルの開発、顧客獲得・投資確保を目的としている。
詳細はこちら。https://www.spaceresourceschallenge.esa.int/